プロジェクターを天井の照明の位置に取り付けたい、という相談は年々増えています。
天井の引掛シーリングは電源が来ているうえ、一定の重さを支える構造にもなっているためです。
ただ、シーリングライトへの設置と一口に言っても、方法は2つに分かれます。
照明と一体になった製品を付け替える方法と、引掛シーリングに器具をかませてプロジェクターを吊る方法です。
耐荷重の考え方も電源の取り方も違うため、この記事では方式の選び方から順に整理します。
記事のポイント
- 照明一体型か、器具をかませて吊るかで条件が変わる
- 天井の配線器具の種類で支えられる重さが違う
- 器具を吊る方式は壁スイッチの扱いに注意が要る
- 竿縁天井や傾斜天井では取り付けられない
シーリングライトへの設置は2つの方法に分かれる
どちらも天井の引掛シーリングを使いますが、性格はかなり違います。
| 方式 | 電源の取り方 | 重さの考え方 | 機種の選択肢 |
|---|---|---|---|
| 照明一体型を付け替える | 引掛シーリングから直接 | 本体重量が配線器具の許容内に収まる設計 | 専用の製品から選ぶ |
| 器具をかませて吊る | 変換アダプターでコンセント形状に | 吊る位置が偏るほど許容が下がる | 軽量な機種なら流用できる |
照明も兼ねたいなら一体型、手持ちの機種を活かしたいなら吊る方式が基本の分け方です。
一体型は取り付けが数分で終わる代わりに、機種が限られます。
吊る方式は自由度が高い代わりに、重さと電源の管理を自分で組む必要があります。
まず天井の配線器具の種類を確かめる
どちらの方式でも、出発点は天井に付いている配線器具の確認です。
照明を外すと、天井側に丸や四角の器具が見えます。
パナソニックのサポートページでは、丸型フル引掛シーリング、フル引掛ローゼット、丸型引掛シーリング、角型引掛シーリング、引掛埋込ローゼット、引掛露出ローゼットの6種類が挙げられています(出典:パナソニック公式サイト)。
見分けるポイントは、器具の側面に金属の耳のような金具があるかどうかです。
この金具はハンガーと呼ばれ、ネジで器具を直接固定するためのものです。

照明器具の取扱説明書では、5kgを超えるものを引掛シーリングだけで支えないよう案内されているのが一般的です。
ハンガー付きのローゼットにネジで留める場合は、より重い器具にも対応できます。
今ある器具がどちらなのかを見ないまま、重い製品を選ばないでください。
もう1つ確認したいのが、器具が天井からどれだけ出ているかです。
出っ張りが浅すぎると、取り付けアダプターのツメが天井に当たってロックしきれません。
照明一体型は重量制限に合わせて作られている
照明とプロジェクター、スピーカーを1つの筐体に収めた製品があります。
天井から電源を取るため、床を這うケーブルが1本も出ません。
これらの本体重量は、おおむね4.7kgから4.9kgあたりに集まっています。一般的な引掛シーリングの許容内に収めるため、重量を削って設計されているからです。
もう1つ、光学面でも天井向けに作られています。
天井の中央から壁へ映すと、距離が部屋の広さで決まってしまいます。
そのため、短い距離で大きく映せるレンズが載っています。
また、高い位置から見下ろす角度で投影する前提で設計されているため、台形補正に頼る量が少なくて済みます。
台形補正を大きくかけると、周囲の画素を捨てるぶん解像感と明るさが落ちます。
天井から映す前提の機種は、この補正に頼らずに済む点で有利です。
照明一体型の代表格がAladdin Xシリーズで、工事をせずに引掛シーリングへ取り付けられます。
照明の明るさや対応畳数はモデルで違うため、部屋の広さに合うかを確認してください。
\ 対応畳数と投影サイズを公式で確認 /
器具をかませて吊る場合の落とし穴
手持ちのプロジェクターを使いたい場合は、引掛シーリングに取り付けるレールや金具を介して吊ります。
天井に穴を開けずに済み、費用も抑えられる方法です。
ただし、注意すべき点が2つあります。
1つ目は重さの偏りです。
レール全体で支えられる重さと、片側に1台だけ吊るしたときに支えられる重さは別物です。
中心から離れた位置に吊るすほど、許容できる重さは下がります。
そのため、この方式では1kgから2.5kg程度の軽い機種が前提になります。

2つ目は電源です。
天井から電源を取ると、部屋の壁スイッチがそのまま主電源になります。
照明を消そうとしてスイッチを切ると、プロジェクターの電源も同時に落ちます。
プロジェクターは電源を切ったあともファンを回して内部を冷やします。
壁スイッチで強制的に電気を止めると、この冷却が途中で止まって熱がこもります。
スイッチは入れたままにして、照明側を別で消せるようにしてください。
照明をアプリやリモコンで消せる電球にしておくと、この問題は起きません。
レールを使った吊り方の手順と必要なものは、プロジェクターをダクトレールに天吊りする方法と必要なもの一覧にまとめています。
取り付けられない天井がある
引掛シーリングがあっても、周りの形状で設置できないことがあります。
和室に多い竿縁天井は、天井板の下に細い木材が並んでいます。
照明一体型は直径50cm前後の円盤なので、この木材に当たって密着できません。

一体型を付けるには、天井に1m四方ほどの平らな面が必要になります。
傾斜した天井も、水平を前提に作られた製品には向きません。
さらに、配線器具が斜めに付いていてぐらつく場合や、破損している場合も取り付けできません。
器具が古い、または位置がずれている場合は、交換や増設という選択肢もあります。
ただし配線器具の工事には電気工事士の資格が必要なため、自分では行わず管理会社か電気工事店へ相談してください。
賃貸で穴を開けないほうがよい理由
天吊り金具を使えば、ネジで直接固定するほうが安定します。
ただ、賃貸では退去時の費用に跳ね返ります。
国土交通省は原状回復を、賃借人の故意・過失や善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することと定義しています(出典:国土交通省公式サイト)。
ガイドラインでは、下地の張り替えが要らない画鋲やピンの穴と、重い物を掛けるために開けたネジ穴が分けて扱われています。
プロジェクターを吊るネジ穴は、天井の下地まで届きます。
自分でパテを詰めても、退去時の確認では分かってしまいます。
引掛シーリングを使う方法なら、そもそも穴を開けずに済みます。
賃貸での設置全般については、プロジェクターを賃貸で楽しむ方法とおすすめの設置術で他の手段も紹介しています。
部屋の広さで映せるサイズが決まる
天井の引掛シーリングは、部屋のほぼ中央にあります。
つまり、壁までの距離を自分で変えられません。
据え置きのように前後へ動かして画面サイズを調整する、ということができない設置です。
| 部屋の広さ | 天井中央から壁までの目安 | 標準的なレンズ | 短焦点のレンズ |
|---|---|---|---|
| 4畳半〜寝室 | 1.0〜1.3m | 40〜50インチ | 60〜70インチ |
| 6畳 | 1.5〜1.8m | 60〜80インチ | 100インチ前後 |
| 8〜10畳 | 2.0〜2.5m | 80〜100インチ | 100〜120インチ |
数値は目安で、家具の位置や天井の高さによって変わります。
調べていて分かったのは、同じ6畳でも標準レンズと短焦点でサイズが1.5倍近く変わることです。
部屋が狭いほど、レンズの差が満足度に直結します。
天井へ映す方法と天井に設置する方法の違いは、プロジェクターの天井投影と天井設置|賃貸でできる方法を比較で整理しています。
シーリングライトへの設置に関するよくある質問
取り付けに工事は必要ですか?
引掛シーリングがすでにあれば、器具を回して固定するだけで済みます。
配線をいじる作業は発生しないため、資格も不要です。
ただし配線器具そのものを交換・増設する場合は、電気工事士による工事になります。
今ある照明はどうなりますか?
照明一体型に付け替える場合は、元の照明を外して保管することになります。
退去時に戻す必要があるため、外した照明と部品は捨てないでください。
吊る方式の場合は、レールに別の照明を並べて付けられます。
ゲーム機やレコーダーはつなげますか?
天井から床までHDMIケーブルを引くのは現実的ではありません。
映像を無線で飛ばす送信機を使うと、手元の機器と天井の本体をつなげます。
わずかな遅れが出るため、反応の速さを求める対戦系のゲームには向きません。
地震のときに落ちませんか?
耐荷重はふだんの状態を前提にした値なので、揺れの分は余裕を見てください。
限界に近い重さの製品を選ぶより、余裕のある重量帯から選ぶほうが安全です。
取り付け後は、ロックが最後までかかっているかを手で確認してください。
寝室の天井に映すこともできますか?
照明一体型には、天井そのものへ映せるモデルもあります。
ただし本体は天井に付いているため、映せる範囲は限られます。
寝転がって見たいだけなら、床に置いて上へ向ける機種のほうが自由に調整できます。
プロジェクターのシーリングライト設置のまとめ
シーリングライトへの設置は、照明一体型と、器具をかませて吊る方式の2つに分かれます。
最初に決めるのは機種ではなく、どちらの方式で組むかです。そのうえで、天井の配線器具の種類と、ハンガー金具の有無を確かめてください。
吊る方式を選ぶ場合は、重さの偏りと壁スイッチの扱いが課題になります。
竿縁天井や傾斜天井では取り付けられないため、先に天井の形を見ておくと無駄がありません。
そして、映せるサイズは部屋の広さでほぼ決まります。
狭い部屋で大画面にしたいなら、短焦点のレンズを積んだ機種を選んでください。


