タフティングの下絵は、フレームに張ったクロスへプロジェクターで図案を映し、ペンでなぞると正確に写せます。
拡大も縮小も自由にできるので、文字や細かい模様のように手で描きにくい図案でも、線をなぞるだけで済みます。
注意したいのは、打ち込む面が完成品の裏になるため、図案を左右反転させて映す必要があることです。
機種は明るさより、近い距離で映せることと、位置を細かく調整できることを優先して選びます。
この条件で選んだ機種は、後半の「下絵に使いやすい小型プロジェクター」の節で、背面投写と首振りのスタンドを1台にまとめたXGIMI Elfin Flip Plus、背面投写と三脚ネジがそろうAnker Nebula Capsule 3、予算を抑えるWanbo T2 Ultraの順に紹介しています。
記事のポイント
- 下絵は張ったクロスに投影し、マーカーやチャコペンでなぞる
- 打ち込む面に描くなら、図案はスマホで左右反転してから映す
- 描く人とプロジェクターを同じ側に置くと、自分の影で線が隠れる
- 機種は明るさより、近い距離で映せて位置を調整しやすいものを選ぶ
プロジェクターで下絵を写す流れ
タフティングの教室や材料店の多くは、プロジェクターで図案を投影してなぞる方法を案内しています。
手順は、次の順番で進めます。
- タフティングクロスをフレームにしっかり張る
- 図案のデータをスマホやタブレットに用意する
- 部屋を暗くして、図案をクロスに投影する
- 定規で測りながら、図案を作りたい大きさに合わせる
- 輪郭線や色の境目を、マーカーやチャコペンでなぞる
手書きの図案を使う場合は、ゆがまないように真上からスマホで撮影してデータにします。
フリーハンドでも描けますが、簡単な模様向けで、文字や複雑な図案は崩れやすくなります。
直線だけの図案なら定規で線を引けば足り、材料店もシンプルな作品ならプロジェクターなしで始められるとしています。
紙の図案を裏から透かして写す方法もありますが、紙の大きさ以上には広げられません。
大きさを自由に変えられて、細かい線も正確に写せる点が、プロジェクターを使ういちばんの利点です。
図案を作るときは、模様や線、隙間を実寸で1cm以上にしておくと、打ち込みでつぶれにくくなります。
なぞるペンは、下書きの線が毛糸に色移りしないよう、速乾性のあるものを選ぶよう材料店が勧めています。
図案は左右反転させて映す
タフティングを始めた人の多くが一度は経験する失敗が、図案の反転のし忘れです。
文字や顔のように左右が違う図案は、反転させずに打ち込むと、完成品で左右が逆になります。
打ち込む面は完成品の裏になる
タフティングガンで糸を打ち込む面は、仕上がったラグの裏側にあたります。
そのため、打ち込む面に下絵を描くときは、左右を反転させた図案が必要です。
ただし、打ち込まない側の面から布に光を透かして映す場合は、反転させずに元の図案のまま映します。
そうすると、打ち込む面には左右が反転した図案が透けて見えるからです。
どちらの面から映すかで、反転が要るかどうかが変わる点を覚えておいてください。
反転はスマホで画像を反転させるのが手軽
図案を反転させる方法は、次の2つです。
- スマホやパソコンで画像を左右反転してから映す
- プロジェクターの投写方式を背面(リア)に切り替える
スマホの写真編集には、たいてい左右反転の機能があり、どの機種のプロジェクターでも使えます。
プロジェクター側の設定は、背面投写のメニューがある機種でしか使えません。
たとえばエプソンは、メニューの投写方式を「リア」に変えると背面からの投写になると案内しています(出典:Epson Europe FAQ)。
安い小型機では、この設定がない機種もあるため、スマホで反転させる方法を基本にすると迷いません。
プロジェクターの反転設定の場所は、プロジェクターの映像が反転したときの直し方を解説した記事で説明しています。
自分の影で線が見えなくならない映し方
投影してなぞるときに意外と困るのが、描いている自分の影です。
描く人とプロジェクターが布の同じ側にいると、手や体が光をさえぎり、図案の線が見えなくなります。
布の反対側から透かして映す
いちばん楽なのは、プロジェクターを布の反対側に置き、光を透かして映す方法です。
描く人の前に光源がないため、影が線にかかりません。
打ち込まない面から映すことになるので、図案は反転させずにそのまま映します。
フレームの両側に人とプロジェクターが立てるだけの広さがあれば、この方法を選んでください。

同じ側から映すなら斜め横から描く
部屋が狭く、布の両側に場所を取れない場合は、描く面と同じ側から映すことになります。
このときは真正面に立たず、少し横から手を伸ばして描くと、影が線にかかりにくくなります。
打ち込む面に直接映すので、図案は左右反転させてから映してください。
図案がゆがまない設置のコツ
プロジェクターをフレームに対して斜めに置くと、四角い図案が台形にゆがみます。
台形補正で四角に戻せても、補正を強くかけると線がぼやけたり、縦横の比率が実寸とずれたりすることがあります。
実際に、フレームが正方形でないため台形補正をかけても歪みがないか確信が持てなかった、という作り手の声もあります。
ゆがみを抑えるには、次の点を守ります。
- 部屋の照明を落として、投影した線をはっきり見えるようにする
- レンズの中心をフレームの中心へ正面から向け、台形補正は最小にする
- 投影したら定規で縦横を測り、元の図案と比率が同じか確かめる
- クロスの四隅に三角や四角の目印を描き、ずれたときに合わせ直す
- ペンを押し付けず、手ごと滑らせるように描く
四隅の目印は、作業が翌日にまたがるときにも、投影の位置を元に戻す手がかりになります。
ペンを強く押し付けると、張ったクロスがずれたりゆがんだりするので注意してください。

画面サイズと距離の関係は、プロジェクターの投影距離を解説した記事で計算のしかたを紹介しています。
タフティング用プロジェクターの選び方
下絵を写すだけなら、映画を見るような明るさや高い解像度は必要ありません。
部屋を暗くして使うことが前提なので、それよりも置き方と使い勝手を重視します。
選ぶときに見るポイントを、次の表にまとめました。
| 見るところ | 目安 |
|---|---|
| 投影距離 | 近い距離で映せるほど狭い部屋で使いやすい。購入前に最短の投影距離を確認する |
| 位置の調整 | 三脚ネジや角度を変えられるスタンドで、高さと向きを細かく合わせられる |
| スマホとの接続 | ミラーリングやアプリで図案を送れると早い。Wi-Fiが不安定なら有線の入力もあると安心 |
| 明るさ | 暗い部屋で使うので高い明るさは要らない |
| 解像度 | 線は実寸1cm以上が目安なので、720pからフルHDで足りる |
| 背面投写の設定 | あれば反転が楽になるが、スマホで反転できるので必須ではない |
材料店でも、小型で高さや位置を細かく調整でき、スマホとつながる機種を勧めています。
Wi-Fiの接続が不安定で設定だけで半日かかった、という失敗談もあるため、接続方法は買う前に確かめておきましょう。
小型機ならではの弱点も含めた選び方は、小型プロジェクターの選び方を解説した記事で詳しく説明しています。
下絵に使いやすい小型プロジェクター
ここでは、タフティングの下絵に必要な条件をメーカーの情報で確かめられた機種を紹介します。
価格は2026年10月時点のもので、時期によって変わります。
背面投写と首振りスタンドがそろうXGIMI Elfin Flip Plus
XGIMI Elfin Flip Plusは、明るさ500 ISOルーメン、フルHDの小型プロジェクターで、重さは約1.1kgです。
公式の仕様表には、フロントとリアを切り替える投影方式と、投射比(スローレシオ)1.2:1、40〜200インチの投影サイズが載っています。
本体と一体のスタンドが150°まで回るため、机の上に置いたまま、レンズの向きをフレームの中心へ合わせやすい形です。
スマホの図案は、Google Castで無線のまま本体に映せます。
投射比は次のCapsule 3と同じなので、1m角の図案を一度に映すなら、フレームから約2.1m離す計算になります。
床に三脚を立てる場所がない部屋では、本体だけで向きを変えられるかが、なぞる作業のしやすさを左右します。
価格は公式ストアで¥69,800(税込・2026年10月時点)で、ここで紹介する3機種の中ではいちばん高くなります。
\ 背面投写と150°の首振りを1台で /
※公式ストア価格69,800円(10月時点)
反転と三脚ネジがそろうAnker Nebula Capsule 3
Anker Nebula Capsule 3は、明るさ200ANSIルーメン、フルHDの小型プロジェクターです。
メーカーの仕様表に、前面と背面を切り替える投写モードと、本体底面の三脚用ネジ(1/4インチ)が載っています(出典:Anker Japan公式サイト)。
本体は約850gと軽く、三脚に載せて高さを合わせやすい重さです。
台形補正は縦横ともに自動と手動の両方に対応しています。
部屋の広さを考えるときは、仕様表のスロー・レシオ(投射比)1.2:1を使います。
投射比は、レンズから映す面までの距離を映像の横幅で割った値で、1.2なら横幅の1.2倍の距離が要るという意味です。
映像は16:9の横長なので、正方形に近いフレームでは、図案の高さに合わせて距離が決まります。
| 映したい図案の高さ | 映像の大きさ | 距離の目安 |
|---|---|---|
| 約50cm | 約40インチ(横幅約89cm) | 約1.1m |
| 約1m | 約80インチ(横幅約1.78m) | 約2.1m |
どちらも仕様表の数値から計算した目安で、実際はレンズの高さや台形補正の量で前後します。
1m角の作品を一度に映すなら、フレームから2m前後離せるかを先に測っておきましょう。
より明るい300ANSIルーメンのCapsule 3 Laserもありますが、下絵を写すだけならCapsule 3で足ります。
Amazonでの価格は¥57,990(税込・2026年10月時点)でした。
\ 背面投写で反転も本体だけで済む /
予算を抑えるならWanbo T2 Ultra
予算を抑えたい場合は、Wanbo T2 Ultraが候補になります。
Amazonの商品説明では、明るさ500ANSIルーメン、フルHD、上下左右の台形補正、一体型スタンドを備えた機種です。
一方で、推奨投影距離は1.2〜3.8mほどとされていて、フレームから1.2m以上離せる部屋が前提になります。
背面投写の設定と三脚ネジの有無は確認できなかったため、反転はスマホ側で行うつもりで選んでください。
Amazonでの価格は¥26,999(税込・2026年10月時点)でした。
\ 机に置いて1.2mから映す入門機 /
三脚やスタンドで高さを合わせる
フレームの正面に映すには、レンズの高さをフレームの中心に合わせる必要があります。
机や棚の上で高さが足りないときは、三脚やスタンドを使うと位置を細かく調整できます。
床に置いてフレームの前から映すなら、高さを変えられる三脚が向いています。
Capsule 3と組み合わせるなら、Anker純正のバッテリー搭載三脚スタンドが、高さ約22〜84cmで調整でき、上部を前後に最大90度まで傾けられます。
対応機種はCapsule Air、Capsule 3、Capsule 3 Laserに限られるため、ほかの機種には使えません。
机の上で角度だけ変えたい場合は、1/4インチのネジ穴に付ける卓上スタンドでも足ります。
三脚で代用するときの注意点は、プロジェクターのスタンドを三脚で代用する方法の記事でまとめています。
タフティングとプロジェクターに関するよくある質問
家にある普通の家庭用プロジェクターでも使えますか?
使えます。
図案を映せて、フレームの正面に置ける距離が取れれば、映画用の機種でも下絵は写せます。
40cmくらいの小さな図案もきれいに映せますか?
画面全体を大きめに映し、画像の中で図案の大きさを合わせる方法が使えます。
仕様表の投影サイズより小さく映すとピントが合わない機種もあるため、最小の投影サイズを買う前に確認してください。
タフティングとプロジェクターのまとめ
タフティングの下絵は、張ったクロスにプロジェクターで図案を映してなぞると、正確に写せます。
打ち込む面に描くなら、図案はスマホで左右反転してから映してください。
布の反対側から透かして映すと、自分の影で線が隠れません。
レンズをフレームの正面に向け、定規で寸法を確かめると、図案のゆがみを防げます。
機種は明るさより、近い距離で映せて位置を調整しやすく、スマホとつながるものを選ぶのが近道です。
背面投写の設定と三脚ネジの有無、最短の投影距離は、買う前にメーカーの仕様表で機種ごとに確かめてください。
